小学校や中学校にいる,「ちょっと困った子」や「やんちゃな子」。スクールカウンセラーたちは,そうした子たちに「心理学理論お墨付きの改善方法」を適用し,介入を試みています。でも,なかなか一筋縄にはいかない場合もあるようです。
この問題に対して,ちょっと面白い角度から答えようとするのが,「道具と結果方法論」という実践論です。マルクスや,心理学者ヴィゴツキーの発想をもとにして,フレド・ニューマンとロイス・ホルツマンという二人の在野の研究者が,1980年代のニューヨークで生み出したこの実践論は,いま,「パフォーマンス心理学」の名の下に日本にも広まりつつあります。
2020年9月に行われたオンラインシンポジウムにおいて,かねてから学校での臨床実践に携わってきた二人の研究者が,参加者とともに,「道具と結果方法論」が学校臨床にもたらす可能性について語りあいました。この連載は,そんなシンポジウムの記録です。