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「道具と結果方法論」から見た学校臨床

2021年1月15日(金)連載スタート! 毎週金曜日更新。全8回予定です。

 小学校や中学校にいる,「ちょっと困った子」や「やんちゃな子」。スクールカウンセラーたちは,そうした子たちに「心理学理論お墨付きの改善方法」を適用し,介入を試みています。でも,なかなか一筋縄にはいかない場合もあるようです。
 この問題に対して,ちょっと面白い角度から答えようとするのが,「道具と結果方法論」という実践論です。マルクスや,心理学者ヴィゴツキーの発想をもとにして,フレド・ニューマンとロイス・ホルツマンという二人の在野の研究者が,1980年代のニューヨークで生み出したこの実践論は,いま,「パフォーマンス心理学」の名の下に日本にも広まりつつあります。
 2020年9月に行われたオンラインシンポジウムにおいて,かねてから学校での臨床実践に携わってきた二人の研究者が,参加者とともに,「道具と結果方法論」が学校臨床にもたらす可能性について語りあいました。この連載は,そんなシンポジウムの記録です。

著者略歴

  1. 岸 磨貴子

    明治大学国際日本学部 准教授。専門は教育工学。研究テーマは「多様性をつなげる教育、多様性がつながる学習環境デザイン」。中東(シリア、パレスチナ、トルコ)を中心に、難民など社会的脆弱な立場におかれる子どもの学習発達支援がライフワーク。難民に「なってしまった」ことで、母国でやっていたようにできなくなって、自信を失ったり、どうせ自分は……と未来への可能性を狭めてしまうことがある。この問題に対して、「ない」ではなく「ある」ことに目をむけ、難民たちが自分たちで活動をはじめていける「場のデザイン」としてパフォーマンス心理学を実践。共訳書に『パフォーマンス心理学――共生と発達のアート』(https://www.shin-yo-sha.co.jp/book/b455390.html)、本書の姉妹本にあたる『「知らない」のパフォーマンスが未来を創る――知識偏重社会への警鐘』(ロイス・ホルツマン,著/岸磨貴子・石田喜美・茂呂雄二,編訳/ナカニシヤ出版 http://www.nakanishiya.co.jp/book/b541244.html)がある。今回は、グラフィックレコーダーとして参加。

  2. 伊藤 崇

    北海道大学大学院教育学研究院准教授。博士(心理学)。専門は言語発達論、発達心理学。文化歴史的アプローチに立ち、子どもの言語発達を考えている。著書に『大人につきあう子どもたち――子育てへの文化歴史的アプローチ』(共立出版、2020年)、『学びのエクササイズ 子どもの発達とことば』(ひつじ書房、2018年)、『ワードマップ 状況と活動の心理学――コンセプト・方法・実践』(共編著、新曜社、2012年)、訳書に『革命のヴィゴツキー――もうひとつの「発達の最近接領域」理論』(共訳、新曜社、2020年)がある。

  3. 松嶋 秀明

    滋賀県立大学人間文化学部人間関係学科教授。専門は臨床心理学。いわゆる「状況論」や「ナラティブアプローチ」を足がかりに,逸脱した子どもの立ち直りについて考えている。著書に『少年の「問題」/「問題」の少年:逸脱する少年が幸せになるということ』(新曜社、2019年)など。

  4. 川俣 智路

    北海道教育大学大学院教育学研究科准教授。修士(教育学)。専門は臨床心理学、教育心理学。学校における思春期の子どもたちの「適応」や「学びやすい」学習環境に関心がある。近著にEducating Adolescents Around the Globe: Becoming Who You Are in a World Full of Expectations (Cultural Psychology of Education Book 11)(共著、Springer、2020 年)、「学校における支援の視点」(分担執筆『そだちの科学』34、日本評論社、2020 年)、訳書に『革命のヴィゴツキー――もうひとつの「発達の最近接領域」理論』(共訳,新曜社,2020年)などがある。

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